小規模多機能サービス事業についての勉強会。
6月15日。ふくねこ緊急勉強会の開催!
きっかけは、以前から面識のあった県庁の国保指導課のTさんから、「小規模多機能サービスを、市民の方が利用しやすい制度にしていくためにどんなことが必要かアドバイスを」と連絡をいただいたことからでした。せっかくなので、私個人の知識や判断だけのアドバイスではなく、関心のある方に集まっていただいて、まずは何を目標に作られて、これからどういう方向に持っていこうとしている制度なのか・・・そこをともに学習し、共有する時間を設けてから、それぞれの立場で意見を出し合いましょう、と私から提案させていただいて、今回の勉強会が実現しました。
各所に声がけをさせていただいた結果、NPOふくねこのメンバー(福祉住環境コーディネーターとあわせて建築士、ヘルパー、介護福祉士、福祉用具専門相談員などの資格を持った者)、NPOさわやか高知(制度外の有償ボランティアサービスの提供)の方、高知女子大のN先生、建築士会女性部会のいたわり住宅研究会の方、など幅広い人材に集まっていただくことが出来ました。
まずは自己紹介をしてから、Tさんが作成してくださった資料をもとに小規模多機能サービスについて解説をしていただきました。なぜ、国保指導課の職員が?と疑問に思うところですが、課内の医療費適正化チームがこの事業の推進については担当していると聞けば・・・少し理解が出来るところですね。
2006年4月から導入された、地域密着型サービスの中に含まれる「小規模多機能型居宅介護」の考え方とは、基本的には「通い」を中心として、要介護者の状態や希望に応じて、随時「訪問」や「泊まり」を組み合わせて、サービスを提供することで、中重度となっても在宅での生活が継続できるよう支援すること。
在宅に帰れない、在宅では介護が出来ないなどの理由で、療養型病床にいるけれど、本来は環境さえ整えば在宅で生活が出来る方々に、なんとか地域に帰って生活していただける拠点を作ろう。障害が重くなっても、その人らしさを尊重して、家庭的な雰囲気の中で高齢者に向き合い、寄り添うケアを実現していこう。というのが概要です。詳細は、厚生労働省ホームページをご覧ください。
しかし実際に事業所の申請には、現場で対応する経営者や介護職員にとっては厳しい”しばり”があり、運営についての実践者の意見や、収支モデルを分析して考えても、「そんな拠点が出来たら理想なのは分かるけど、これほど大変な負担を強いられる内容で、実践する人にメリットはあるの?」と、素朴な疑問が飛び出すのも理解できます。実際に、小規模多機能型を実践する事業所で働いているメンバーは「確かにまだ前例が少なく、自分達で探さないと情報もあまり出ていない。運営が大変な面もあるけど、介護の専門職としては利用者の望むケアを行うことが出来て、やりがいはある。」と言っていました。
NPO同様、思いのある人が悲鳴をあげながら苦しくても自分のミッションを達成するために切り拓いていくものになってしまうのでしょうか。
またハード面では、いたわり住宅研究会で民家改修型の認知症対応のデイサービスを手掛けたOさんが、建築基準法にはまだ「老人ホーム」「デイサービス」「グループホーム」という用途基準がなく、少人数の利用でも「児童福祉施設」という特殊建築物の基準の適応となり、家庭的な民家の良さを残したくても、建築基準法上は様々な制限を受けてしまうため、まだ現状に対応できていない点や、関係する建築指導課などがまだ知識がなくて、行政としても対応しきれていない問題点など、経験からの意見を出していただき、改めて何よりも取り払えない大きな壁だなと感じました。
制度や交付金を利用する以上、行政とのやりとりが必要ですが、国保指導課、介護保険課、建築指導課と・・・まったく違う課が関係しているのにお決まりのタテ割で情報が分断されているので、まずはそこを何とかつないで欲しい。各課がプロジェクトを組んで横のつながりを持たせることは出来ないか、という要望はどんなケースでもよく言われていることですが・・・確かに各課のたらいまわし現象は、いつも労力を奪われる大きな問題です。
私は行政ばかりに望んでも、今までも変えられなかったし、そこをNPOがつなぐというのもひとつの役割だと思うのですが、参加者からは「いや、まずは行政の中で対処できる取り組みをしてもらわなければ!」という声が出ていました。
確かにまだまだこの制度には問題点はあるけれど、否定からは何も始まらない。使わなければそれさえ無くなってしまうかもしれない。制度は動き始めてしまったのだから、皆でアイディアを出し合って、改善していくしかない。
少なくとも、その必要性を感じてこうした場を設けることが出来て、意見を出し合うことが出来た時間は、お互いにとって有意義だったと感じています。
じゃぁどうすれば使いやすくなるのか、何が必要なのか、その方法は??
「これから一緒につくっていきましょう!」
また第2回、第3回とこうした場を設けましょうと約束を交わして、この日の勉強会は終了しました。
協働とまでは行きませんが、ともに成長していきながら取り組んでいきたいと思っています。
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